2015/09/13

アンサンブルの3つの段階

 
 
Tuttiに臨む際、練習姿勢に3つの段階があると考えている。
 
 初期段階として【自己完結】の姿勢。
 意識の向きどころは“自己”である。周囲に対して無関心な段階であり、その原因はいくつかある。代表的なのは、さらえていない、もしくは技術的劣等感が強いがゆえに譜面を追いかけることに必死で、メンタル的に余裕を持てなくなるケース。あるいは、そもそもアンサンブルする気がない(アンサンブルの愉しみを知らない)換言すれば他のパートに関心がないケース。もちろん、いずれのケースも結果としてそうなっているのであり、奏者自身におそらく悪意はないのだろう。ただ、これではアンサンブルを組み上げていくことは困難である。
 
 第2段階として【親和・協力】の姿勢。
 意識の向きどころは“周囲”である。自己の殻から若干視野が広がり、周囲を見渡し演奏を乱さないことに主目的を置く段階である。ある意味ここまで到達できればたいしたものだろう。いわゆる「まわりを聴く」段階のことなのだが、なかなか一筋縄ではいかない。苦心してようやくたどりつける境地なのだ。とはいえ、まだ完全ではない。なぜなら周囲に迷惑をかけない=受け身の姿勢で終わっているからである。
 
 第3段階として【調和・協調】の姿勢。
 
 意識の向きどころは“音楽”である。先の親和・協力の段階のすぐ先にあるため、到達するのは容易である。つまり受動的姿勢から能動的姿勢に発展しさえすれば、アンサンブルそのものへの参画意識が生まれ、単なる「音合わせ」にとどまることなく、「音楽」を創り込むことに目的を置くようになる。音程やタテなどのズレに気づき修正を図るのは当然として、その上で音楽的調和を追求し、音楽的完成度を高めようと創意工夫するようになる。 
 
 言葉にすればコムヅカシくなるが、こんなふうに意識の置きどころを段階的に整理することで、多少なりともアンサンブルが前に進んでいけばいいなと。


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