2015/07/19

選曲について



 演奏会を催すためのひとつのステップとして「選曲」が挙げられます。今まさにこの過程にある2015夏のvio。まず最初に確認しておきたいのですが、ここでいう「選曲」とは、初見大会などといった“内輪の楽しみ”を意味するものではありません。あくまでも公共的な告示活動を行い聴衆を招いて催す“演奏会に向けての選曲”について考察します。そういった意味での選曲とは、つまり演奏会のコンセプトを考え、決することに他ならない。単に演目となる曲を選ぶだけの作業ではないのです。以下噛み砕いて解説します。

 a)「どの曲を何のために」

 b)「どこでどう演奏し」

 c)「何を目指すことを目的とするのか」

 この3つの問いは、選曲の根幹を成す部分です。明確な答えを見つけ出せない限り、妥協によるボヤけた曲決めの域を出ません。ひいては惰性による演奏会をなんとなく開催してしまうことにもつながるでしょう。さらに踏み込んで申しますと、

 d)「なぜ、その曲なのか」

 e)「その曲を、誰に聴かせたいのか」

 f)「その曲を聴かせることで、自分はどんなメリットを得るのか」

 g)「その曲を聴かせることで、楽団はどんなメリットを得るのか」

 h)「その曲を聴かせることで、お客さんはどんなメリットを得るのか」

 大前提となる最初の3つの問いについて答えを求める過程で、こんなふうに、連鎖的に問いかける内容が深まっていくのも自然なことでしょう。あらゆる角度から候補曲を考察し、時に批判的な視点をもって、その曲を採用するゆえんを深く掘り下げ、根拠を固めていく。そうすることで初めて、一本スジの通ったコンセプトが生まれ、真の意味での演奏会の成功に近づけるような気がします。

 私見ではありますが、単にやりたい曲の人気投票を行うだけでは、どこかしらフワフワとした落ち着き・まとまりのなさが拭い切れず、演奏会全体を通しての訴求力やメッセージ性に欠けるような感覚があります。もちろん「このメロディーがおいしいから…」とか「この部分がキレイでカッコいいから…」などといった、個々団員の直感的かつシンプルな根拠があってもよい。好きこそモノの上手なれとも言いますし、好きでない演目をもって大きな成果を上げることは困難ですしね。

 しかしながら、そういった「個人の中で完結する音楽」だけを求めるのであれば、集合体である弦楽アンサンブル楽団である必要はないとも言えます。さらにはそれは単なる自己満足であり、お客様の満足について十分な配慮がなされているか考慮する作業に乏しい可能性もあります。

 一方、団体として・個人としての現状の技術的制約という生々しい事情から曲を絞り込む作業も、ある程度は必要でしょう。その際注意しておかなければならないのは、現状の技量レベルではなく、演奏会までの時間、自らが向上し到達するであろうレベルも考慮した上で、基準を未来視点に置いて定めることです。今のレベルから一切向上しないつもりであれば話は別ですが、たいていの場合そうではないはずと僕は思いたいです。

 単なる人気投票とは違うというところを、今一度しっかりとおさえておく。お客様あっての演奏会。自己中心的なマスターベーションに陥ることは避けたい。そして単なる技術面の比較による消去法で、消極的な選曲に収まらないよう留意したい。vioは素人集団であり、未熟な集合体に過ぎません。

「できる曲」などただの1曲もない、
けど「やりたい曲」もしくは「やろうと思える曲」はいくらでもあるはずです。

 今はまださまざま候補曲を並べあーでもないこーでもないと熟慮を重ねている段階ですが、時間は流れ演奏会当日は必ず来ます。そう、ある意味もう今この時点から、16th演奏会は始まっているのです。妥協せず、とことん真剣に考え抜いて結論を導いていきたいものです。

0 件のコメント:

コメントを投稿