2014/12/03

【真面目に遊ぶ】



「アマチュアは“まずは”自分が楽しむこと。」

余暇活動の一環として趣味領域で楽器や音楽をたしなむ以上、いわば遊びの域を出るものではないだけに、それが第一であることは疑いようがない事実です。では、“まずは…”の次に来るものは何でしょうか?そこでこの日記の表題です。一見矛盾してるようでそうではない。真面目に遊ぶ。そのまんまです。

アマチュア奏者としての僕の音楽活動に対する考えの基本的なところは、
 【1】いい音楽がしたい(いい音楽の定義についてはいろいろ)。
 【2】そのためには最低限の義務は発生する(運営・演奏ともに)。
 【3】また集団行動である以上、人に迷惑をかけることは避けるべき。
 【4】けどしょせん素人集団、とにかくヤル気だけでも見せてくれたらヨシとしよう。
 【5】要するに結論は、遊びでも真面目にやらないとつまらない。
といった感じです。そして、こういった過程を踏む中で、最終的に出てくる意識として、
 【6】それがひいては演奏会を催す社会的責務を全うする事にもつながる。

さぁ、ちょっと難しいことになってきました。「社会的責務」コトバにするとたいそうですね。

わかりやすく言うと、Beethoven Nr.5をまったく知らないお客さんがいたとします。で、それが演奏会の場で、冒頭のタテがズレて「ジャジャジャジャ・ジャーン!」になってしまったとします(言うまでもなく正解はジャが3つでジャーン♪)。プログラムにはそれが「Beethoven交響曲第5番ハ短調op.67」と書かれている。当然そのお客さんは「フムフム、この曲は最初が4つの音なんだな。」と誤解して帰ってしまう。

わかりやすいようにとかなり極端な例を挙げましたが、ようするに、作曲家が曲に込めた思いをなるべく忠実に再現する“責務”
⇒時間都合を演奏会につぎ込んで下さった聴衆の期待に対する“責務”
⇒曲名を公表して演奏会を開くことの社会的“責務”
になるのではないか、と常々考えています。

我々アマチュアにとって音楽に親しむ機会は、何も演奏会という形に限定されるものではありません。譜面を持ち寄り初見大会をもよおして合わせるウチワの楽しみ方もあります。このほかにも発表会、街中ゲリラライブ、宴席での無礼講アンサンブル、そういった特殊な演奏機会は別として、広報活動を打って聴衆を招き演奏会を開く以上、社会的にそれなりの責務が発生しているのではないか?ということです。

また、演奏会を催す上で、無料にするか有料にするかの議論においても、僕はむしろ無料の方が責任度が高いのではないかと考えています。なぜなら無料=有料の場合に比べてお客様の層がより広くなる(可能性が高い)からです。

ちなみに現所属のvioは無料開催を打ち出していますが、特に公的に深い意図はありません。あえて言えば「カネ取るほどの演奏レベルじゃないから」との消極的認識があると言えばある程度ですが、僕自身はいまひとつ腑に落ちていません。

下手だから無料にするというのは、一見理にかなった考えのようにも思えます。けど、そもそも論として、有料無料or上手下手にかかわらず、音楽に関してまったく白紙のお客様に何がしかの曲を提供することは、よくよく考えてみれば非常に怖ろしい一面をはらんでいる、とも言えます。
自分たちの演奏が稚拙であれ間違いだらけであれ、そのお客様にとってはそれがそのまま「音楽」であると捉えられてしまうケースがないとは言い切れません。

なので本題に戻りますが、緊張感を持って「真面目に遊ぶ」こと。これがいかに重要であるか、ご理解いただけると思います。技術的に上手で完璧に近い演奏が難しいのであれば、せめて姿勢だけでも示す。そうすることによって、最低限の社会的責務を果たせる、あるいは果たそうとしていることにはなるのかな?ある意味甘えとも取れる考えではありますが、そういったアイデンティティを持つアマチュア団体であれば、かなりの高確率で「いい演奏会」を作っていくスタートラインに立てるのではないでしょうか。

結局は、自己満足と社会的責務はリンクしているってことなのかもしれません。リンクさせていくことが大切。「自己満足」が他者満足につながり「社会的責務」を果たすことにつながる、とする僕のこの発想からすれば、責務と満足はいわば二枚貝のもう一枚のようなもの。切っても切れない関係にあることは確かなんだろうと感じています。

「自分たちが楽しめばいいのだから、演奏会は自己満足の世界だ」ということをいわれる方も時にはおられますが、お客さんという第三者に対してそれは失礼なことであると同時に本当に自己満足であれば演奏会なんかやらなければいいのに…なんてことを考えたりも。

ここまで長々綴ってきましたが、もしかしたら「責務」や「責任」というよりも、お客さんに対する「礼儀」という言葉の方がしっくり来るのかな?いずれにせよ、相手の期待を裏切らない、嫌な思いにさせない、という演奏会のあり方の方が演奏していて気持ちがいい。

アマチュアには技術、お金、時間、さまざまな制約があります。その制約の中で精一杯誠実な演奏をしたいものです。

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